2014年6月5日木曜日

233 第四章 福音宣教の社会的側面>III 共通善と社会平和>現実は理念よりも大切である



233.現実は理念よりも上位にあります。この判断基準はみ言葉の受肉とその在り方を実践に移します。「イエス・キリストが肉となって来られたということを公に言い表す霊は、すべて神から出たものです」(Iヨハネ42節)。現実の判断基準、すでに受肉し、いつも受肉していくことを求めているみ言葉の判断基準は、福音化の本質です。一方で、わたしたちが教会の歴史を救いの歴史として評価し、まるで福音をわたしたちがでっち上げようと望んでいるかのように、その宝と切断された考えをつくり出そうとすることなく、教会の二千年の豊かな伝承を取り上げるようにとわたしたちを導きます。他方で、この判断基準はみ言葉を実践し、そのみ言葉が実りをもたらすものとなるような働きにおいて正義と愛徳の業を実現するようにとわたしたちを促します。実践に移さないことやみ言葉を現実に持ち運ばないことは、砂の上に家を建て、純粋に理念のうちにのみとどまり、実りをもたらさず、その躍動力を不毛にするアンティミスムやグノーシス主義に退化させます。

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