2014年5月3日土曜日

171 IV.ケリュグマを深めるための福音宣教>成長のプロセスの個人的人格的な同伴



171.いつになく、自らの同伴の体験から、すべての物事の中で群れを散らそうとする狼を前にわたしたちに信頼してくる羊たちを守るために、慎重さ、理解力、希望して待つアート、聖霊への従順を住まわせるプロセスを知っているような男女が必要とされています。わたしたちは、ただ聞く以上の、傾聴のアートを身につけるように訓練する必要があるのです。第一のものは、他者とのコミュニケーションにおいて、これがなければほんものの霊的出会いは存在しない、親近さを可能にする心の容量です。傾聴は、傍観者ののんびりとした構えからわたしたちを引き抜く、ふさわしい仕草と言葉に出会うのを助けます。この尊敬と共感に満ちた傾聴から始めてのみ、わたしたちは本物の聖庁の道、キリスト者の理想を求める願望のめざめ、神の愛に十全に答える渇望、自分の人生の中で神が蒔いた一番良いものを発展させたいという切望を見出すことができるのです。けれどいつも、聖トマス・アクィナスが教えていた次のことを知る人の忍耐を必要とします。人は恵みと愛徳を抱くことができるのですが、しぶとく残る「正反対の傾向のせいで」諸徳の中のあるものをうまく実践できないものです[133]。つまりこれは、状況がそうした徳に満ちた習慣の〈実践〉を困難にしうるとしても、いつも必要な形で《in habitu(習慣的)》に与えられる諸徳の有機性なのです。そこから、「秘儀が完全に受け止められるようになるまで段階的に人々に紹介する、一種の教授法」[134]が必要になってくるのです。成熟したポイントに到達するためには、つまり、人々がほんとうに自由で責任のある決断をできる人になるためには、計り知れない忍耐をもって、時間をかける必要があります。福者ペトロ・ファブロが言っていたように、「時は神からの使い」なのです。


[133] 『神学大全』I-II 65問、3項、異論解答2: « propter aliquas dispositiones contrarias ».
[134] ヨハネ・パウロ二世、シノドス後使徒的勧告『アジアにおける教会』(1999116日)20: AAS 92 (2000), 481.

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